【星の王子様】著:サン・テグチュペリ 訳:菅啓次郎

大人は数字が大好きで、大人にはいつも説明が必要だ。「ぼく」はいつも、ほんとうの話ができる相手を探していた。操縦士になった「ぼく」は、故障した飛行機を直しているとき、地球ではない、他の星からきた星の王子様に出会う。


王子様はいくつもの星を巡っている途中だった。7番目に、地球に着いた。王子様のいる星の話、旅の話はまるでおとぎ話のようだったが、「ぼく」はできるだけイメージして、王子様の話を聞いた。それは、彼が、「ぼく」が幼い頃に書いたボアの絵を理解してくれたからだった。大人には理解してもらえなかったけど、彼は理解してくれたのだった。


心で見なければよく見えない。大切なことって目には見えない。


人はそれぞれ、大切にしているものが違う。王子様が大切に育てたバラも、地球に来てみたら何万本もあるうちの1本かも知れないが、彼にとっては水をあげたり、ガラスのカバーをかけたりして大切に大切に育てたのはそのバラたった1本なのである。一緒に過ごしたその時間・その行為こそが特別な存在にしていくのだ。


人を好きになるということ、自分に合う仕事を選ぶこと、この2点について迷走しているいまこの本を読んだ私は、最初からベストなものに出会うということに期待をしすぎていたのだと実感した。この本で伝えられるように、関わった時間と内容によって恋人であれ仕事であれ、自分だけの特別な存在になるのだ。まずは一歩前に進むことから始めるという大きな勇気を与えてもらえたのだった。

0コメント

  • 1000 / 1000